龍門寺献茶・茶会


御礼

この度、コロナ禍による4年間の中止期間を経て、龍門寺献茶・茶会が再開されました。
今回の法要を特徴付けたのは、修復成った「刺繍涅槃図」のお披露目ということでした。
技術者が高齢で、本年の法要に間に合うか、との心配もあったようですが、見違えるように修復された一幅を拝することができました。
流儀の皆様より多額の寄付をいただきましたこと、誠に有難く改めて御礼を申し上げます。
              宏月
 
 
   



龍門寺御献茶式・茶会に参加して
松洽会 濵谷静枝
 損保川のほとりに静かに悠然と佇む龍門寺の禅堂・不動堂の屋根が目に入ると、懐かしさと共に変わらぬ長閑さに安堵を覚えました。
この度の「御献茶式・茶会」は2024年4月6日に、4年振りに執り行われ、ご宗家様、奥方様、収様それに松洽会会員24名が参加いたしました。
前日、準備のため龍門寺着、身支度を整え竹林軒へ集合。ご宗家様のご挨拶を頂き、その後全員、副住職様のご案内で寺宝館へ移動。
待望の、30代藩主松浦棟公夫人松林院様のお作、蓮糸「刺繍涅槃図」を拝見させて頂き、見事な仕上がりに感無量でございました。
竹林軒にもどり、各自の役割をはたし、5時過ぎホテルに到着。
懇親会が始まりました。
ご宗家様のご挨拶を頂き、眺望を楽しみながら和やかに楽しく明るく、明日への英気を養いました。

 当日朝、龍門寺に入りますと、既に数名の方が、開場を待っておられ、その明るいお顔から久し振りの「献茶会」を喜びの内に待ちわびておられるご様子、有難く思いました。本堂は、参拝者の方で満席になりました。
10時、大太鼓の音と見事なバチさばきの音を合図に、臨済宗妙心寺派ご住職10名余りの力強い読経と共にご宗家様の御献茶が始まりました。
台子近くの方々の中には、献茶の間合掌されていたのが印象的でした。
 
 静謐な空気の中、「盤珪禅師頂相」「鎮信公」様へのお献茶が粛々と進み、94歳になられた河野太通御老師の三礼九拝によって、盤珪禅師・鎮信公様へのご供養が終わりました。
ここで、龍門寺献茶会の由来について改めて振り返ってみますと、龍門寺開祖盤珪禅師と平戸藩主松浦鎮信公は、共に1622年(元和8年)3月のお生まれ。お互い師弟として心を許し合い信頼しあう関係にあったといわれます。鎮信公は盤珪禅師の寺、龍門寺にて茶を供することを約束されましたが、禅師の死により、それは叶いませんでした。その後、毎年平戸より藩士が寺を訪れ茶を献じ、参拝者にも茶を出していたと言われます。
これが、龍門寺「献茶・茶会」の始まりと言われています。
 1999年(平成11年)より献茶は、ご宗家宏月様により、執り行われて参りました。今回、感染対策は緩和されましたが、飲みまわしは不可。
龍門寺大茶碗席も大茶碗での点前は一碗のみ、後は銘々点の薄茶と盤珪餅となりました。鎮信流の席も、一碗一服点ての中茶をカスドースと共に差し上げました。席主、ご宗家様のお話とともに、和やかなお席でございました。
 
私ごとですが、残念なことにうっかり補聴器をつけ忘れたため、お話の内容は分かりかねましたが、心潤うお席であったと思われます。
水屋はさぞ大変だったことと思いますが、皆様役割を心得、手際よく協力しておられる様子を拝見。有難く感謝申し上げました。

御宗家様、奥方様、そして今回は収様にも暖かいご配慮をいただき、無事に4年振りの御献茶式・茶会を終えることが出来ました。
参加者一同、心より御礼申し上げます。

終了後、太通御老師直筆の書を修復募財の御礼にと、各支部に賜りました。
皆様のお見送りをいただき、いつまでもご壮健でいらっしゃいますようにと祈りつつ、龍門寺を後に致しました。
心に残る春でした。