平戸の正月行事松浦史料博物館   岡山芳治
平戸では、正月、節句、盆等々各種の伝統的な年中行事が今でも行われています。しかしながら核家族化や平戸からの人口流出により、諸行事の簡略化や取り止めが目立つようになってきました。そこで今回は我家で行っている正月に関る行事をご紹介致します。
江戸時代武家の習慣だったものが、明治以降一般家庭に定着したものと考えられています。
12月28日餅つき(29日には餅はつかない決まりがある)
12月30日しめ、門松飾り、鏡餅など神棚関係の飾り付け(午前中の満ち潮に飾る)
1月 1日お年とり(家族が集まり元旦朝の行事を順番通りに行う)
1、お茶とお手懸け(写真1)
お手懸けは三方に半紙を敷き、その上に米8合、つるしばを挿したダイダイと辻占をはじめとした菓子類をのせる
2、雑煮
お椀の下に大根の輪切りを敷き、その他の具は白菜のみ
*家族が食べる前に門松に上げる(写真2)
3、吸い物(はんぺん)
*家族が食べる前に門松に上げる。(写真2)
4、お屠蘇、お取りさかな(昆布とスルメ)
5、おせち料理
1月 5日ご寒日(赤飯を神様に上げる)
1月 6日夜にしめ飾りを下げる
1月 7日日の出前 鬼火たき(神棚から下げた餅を焼いて食べると1年を健康に過ごせる)
七草粥(一番鶏の鳴く前に食べるのがよい)
1月14日もぐらうち(昔は子供が地域をまわり、笹竹の先に藁を巻いたもので庭をたたいてモグラを退治してまわる習慣。最近では見かけない)
*「餅やらんカカは鬼のごたる子をもて、餅やるカカは卵のごたる子をもて」の
 掛け声で餅を集めていた。
1月15日小正月
*お手懸けに使用した8合の米をお粥にして食べる。
 (1日3食とも食べることが最も良いとされていた。)
1月20日骨正月
*イワシのお頭つきを食べる。
 (もともと正月用の魚、ブリなどの骨を塩干しておいて、この日に食べていた。)
*おごく(赤飯)を神棚に上げる。
*湯がいた長いままの白菜とイワシまるごと一匹を神棚に上げる。
 (ほだれな節句ともいう)

お手懸け(写真1)

門松に上げられた雑煮とはんぺん(写真2)