新年のご挨拶
福岡支部 原文子
 厳しい寒さの中、春の光を感じる今日この頃、新しい季節の訪れが予感されます。
 昨年はコロナ一色でしたが、ワクチンの成果もあってか、感染者が減少傾向になりました。しかし、年が明けて次なる変異株の感染者が増加し、新年の総会も中止、福岡支部では3地域の会員たちがなかなか集まることができません。各教室においては皆、マスク着用、検温、手指の消毒、茶はすべて自服、茶巾・手巾は自前など感染対策を怠りなくお稽古に励んでおります。オンライン稽古でご宗家・奥方様のご指導を受けて以来、ご指導を再度振り返りながらひとりひとりが基本のお点前を正確に身につけ、茶道に向かう精神を養うことを今年の目標にしています。
 正月はすでに過ぎましたが、博多の正月は大晦日に家主か長男が若水と称して、井戸(今は水道)から汲み上げた水を、初日の出を拝んだ後、年神様に捧げ、榊の水やお雑煮などのお節料理に使います。私はこの若水でお茶を点て年神様と先祖に献茶しました。今年こそはコロナが明け、順風満帆にお稽古ができますようと祈りました。博多雑煮はあごだしのすまし汁。特に出世魚であるぶりが入ります。青菜として使うかつお菜は「勝男菜」とも書き縁起物でこれも博多流。そのほか、焼いた丸餅、鶏肉、人参や里芋、紅白のかまぼこなどもはいり具沢山です。餅がくっつかないよう皮を削った栗の木の箸でいただきます。
 縁起かつぎの博多雑煮にあやかって中身の詰まったお稽古を通して、ひたすら鎮信流の茶の心を学んでまいります。6月の平戸の総会で、ご宗家・奥方さま、皆様にお会いできるのを楽しみにいたしております。
 本年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。