心月公御祭茶
平戸支部松華会 大浦 志保
                 
 卯月13日、松浦家にて心月公御祭茶が挙行されました。コロナ禍のため、中止や、陰点てでの縮小開催が続いておりましたが、今年は、久方ぶりに通常開催となりました。お部屋には、初釜のきりっと冴え渡る空気や、鎮信公御祭茶のしっとりと秋の深まる気配とは違う、新たな期待感を覚えるような春の光が満ちあふれておりました。

 可憐な白山吹が供えられ,ほのかな蝋燭の灯りに照らされた心月公の御画像の、微笑んでおられるようなお優しい眼差しに、励ましてくださっておられるような思いがいたしました。一同、総礼の後、森支部長の御献茶が始まり、髙橋副支部長が御供えをなさいました。松風と春告げ鳥の啼き声が聞こえるだけの閑かな空間で、皆々、その場に溶け込んでいくような穏やかな時間が流れておりました。
   
 出席者7名、拝礼申し上げました後、お下がりのお茶と上用饅頭を頂戴し、引き続き、松華会総会となりました。令和4年度には中止となりました行事も、今年度は、少しずつ、実施となってまいりました。未定の字が減ってまいりますことを願わずにはおられませんでした。

 終了後、閑雲亭の炉を塞がせていただき、風炉の季節を迎える準備が整いました。昨年、閑雲亭横に会員有志で植えさせていただいた鳶尾や紫蘭も咲き始め、木槿や下野も根を広げ、閑雲亭にお稽古に参加させていただく楽しみが増えました。

 この日の朝の道中で、「北海道へのミサイル落下か?」というニュースを耳にいたしました。晴れ渡った春の一日、静寂な空間と時間に身を置くことができましたことへの感謝と共に、世の中の安寧を願いながら帰路につきました。