第28回按針忌
平戸支部松華会 大原 律男
       
 徳川家康に重用され三浦按針となったウイリアム・アダムスは、平戸の地で亡くなりました。平戸市の民間団体「HIRAの会」主催による「按針忌」も28回目となり、今年は、多くの来賓並びに市民の方々が参加され、新型コロナウイルス前の規模に近い形で開催されました。会場はバラの花と香りに包まれ、三浦按針渡来の帆船の守り神「エラスムス像」(国の重要文化財・全国ゆかりの地を巡礼中)の精巧な複製が、墓石の横に置かれておりました。
 式は、東京二期会のソプラノ歌手、星野恵理さんのオープニングの歌声の後、英国及びオランダ国歌が演奏され、黙祷、主催者「HIRAの会」会長の挨拶、各方面からの献辞(平戸市長、英国総領事、ウイリアム・アダムス・クラブ会長)が続きました。元メドウェイ市市長、大英図書館主任学芸員の献辞は県立猶興館高校の生徒が代読いたしました。
 会場に尺八の音が流れ、ウイリアム・アダムス・クラブのクリス・ウエルズ氏による按針の手紙が朗読される中、ご宗家様が御献茶をあそばしました。御献茶に先立ち、ウイリアム・アダムスが乗船し最後まで航海を全うした唯一の船「デ・リーフデ号」が漂着した臼杵市より、アダムス達の喉を潤したであろう湧水が運ばれ、釜に注ぎ入れられました。  英国人慰霊碑への献花を英国総領事様がなされ、ご宗家様、奥方様を始めとして参加者一同による赤いバラの花の献花の後、参加者全員で記念写真を撮り、滞りなく式は終了いたしました。
 屋外での御献茶式ということで準備等にも制約がある中ではございましたが、日頃のお稽古の積み重ねが一つ一つの所作に現れるものであることを実感する機会でもございました。