平戸大心茶会に参加して
九州文化学園茶道文化補助 古川悦子
酷暑の夏が過ぎ、やっと朝晩過ごしやすい日々が訪れてきました。コロナ禍で途絶えていた大心茶会が秋晴れの下、10月13三日松浦史料博物館にて開催されました。
(閑雲亭)
これまでは、長崎国際大学茶道文化Ⅰの学生がフィールドワーク(客作法を学ぶ)の一環として参加しておりました。今回は、新たに「地域連携活動」の枠を作り2年生から4年生のグループ構成で「御宗家様主催の茶会を学ぶ」の形で15名の学生が参加を致しました。 閑雲亭で初めて学生が薄茶席を担当させて頂くこととなり、奥方様自らご指導を頂き「自分で考えて行動することが出来るように」とご指導の下、それぞれの役割を務めさせていただきました。今回の茶会に臨むにあたり、「学生が集まるだろうか?」「準備は大丈夫だろうか?」と不安でいっぱいでした。まず平戸に赴き仮の茶室と水屋を大学に作りました。8月お盆過ぎから点前の練習を始め、出入りの高さ、座る位置、拝見等の出し方など多くの場面を想定して稽古を始めました。9月からは、亭主、半東、水屋の合同稽古が始まりました。その出発式で嶋内先生から「学生が御宗家様の茶会で、しかも奥方様に直接ご指導して頂くことは特別なことです。この様な機会を頂き感謝の気持ちを持って、皆さん協力して頑張ってまいりましょう」の言葉を真剣に受け止めていたと思います。
(大学自明堂 嶋内特認教授出発式挨拶)
水屋では、茶碗の温め方から、抹茶の量、お湯の量など繰り返えし茶筅を振り、意見を出し合い練習を重ねることで感覚を掴み、美味しいお茶を点てる方向へ向かって行きました。
  
(大学自明堂 水屋練習)   (大学自明堂 半東練習)
大きな難題は、茶室での半東の動きでした。今まで一度もしたことが無かった膝行で、何回も手が赤くなるまで稽古を重ね身体を動かせるようになり、お盆を使ってのお茶の出し方も、丁寧で、冷めないようにするにはどうすれば良いか自分で考え行動に移していました。役割と真剣に向き合い、話し合いを行い試行錯誤しながら稽古をする姿はいつも見ている顔とは違うものでした。
点前の学生は替え茶碗の扱いと拝見等が難しかったようです。大学では電熱器の釜を使っての稽古のため、炭を熾す、継ぐ経験も浅く迷っていた姿は印象に残ります。
また男子学生は、着付けの練習も行いました。苦戦しながらも楽しく取り組んでいたようです。
各自何かをする為には全体を把握し、自分に何が出来るか準備が大変であることを学んだと思います。また、一つのことを成し遂げる為には何回も話し合いを重ね行動に移す、そのことが自信になったようです。
当日、水屋からは一心に茶筅を振る音のみ、半東は水屋との連携もスムーズに、点前は緊張感の中に凛とした姿が印象的でした。
(閑雲亭 薄茶席)
稽古があったからこそ前日の奥方様との最終確認変更も学生は柔軟に対応し、茶会当日に臨めたのだと思います。
学生の生き生きした表情、行動は胸が熱くなる思いでした。そして成長した学生を見るのは嬉しかったです。