2018年鎮信公お祭茶に参加して
下関支部 松要会 田原 千秋
 11月9日、秋晴れの中、昨夜の雨でいっそう色鮮やかになった庭園の紅葉に包まれ、鎮信公お祭茶、そして仁田先生へのお献茶が長府庭園書院の間にて10時より行われました。
鎮信公へのお献茶は、朝倉敦子様、お供えは浜谷静枝先生が、仁田先生へのお献茶は浜谷美津枝様、お供えは中野くみ子様がされました。
しんと静まり返った中、鎮信公へのお献茶が厳かに始まりました。
全員で心静かに拝礼をさせていただきました。
その後、床の間のお軸やお花お菓子を改めて仁田先生へのお献茶へと進みました。
お軸は、ご参加いただいた梶間真寿美様書の旧約聖書、伝道の書からだとお聞きしてびっくりいたしました。素晴しい書でした。
松要会の諸先輩方は皆様仁田先生の思い出の品を身に着けて参加されておられ、お客様の皆様も仁田先生をご存知の方々ばかりで、思いを遠く馳せられておいででした。私は仁田先生を存じ上げていないのですが、とても素敵な方なのだと思わされました。

和やかに点心をいただいた後、お軸「心月公御歌谷紅葉」とお花も改め、続薄茶を致しました。
その大切なお役を私、田原が務めさせていただきました。1年近くお稽古をお休みした上でのこの大役、かなり緊張いたしました。
たくさん間違えてしまいました。今まで間違ったことがないような所も間違ってしまいました。
緊張とあせりで冷や汗が額を流れ、体を流れていました。そんな中、とても嬉しかった事がありました。一生懸命に練ったお濃茶、それも茶筅が ねっとりと緑色に染まるほど濃すぎたのですが、お客様が“甘くて美味しいですよ”とおっしゃってくださったことです。
本当に救われた思いでした。

今回のお席では、お点前をさせていただいた事で自分の中の茶道に対する姿勢を改めて教えられた思いでした。

お点前が終わった後にいただいた一服のお茶の美味しさが忘れられません。学ぶことの多い一日でした。
お点前の静けき一時百舌猛る  / 康子   お祭茶は初心にかえる冬はじめ / 静女
秋深してふ名の和菓子愛らしき / 康子   師を偲ぶ献茶ゆったり冬日和  / 静女