初釜に参加して
松親会 大原 律男
 私はこれまで平戸 松華会でお世話になっておりましたが、昨年東京に赴任した関係で現在は、東京支部の地引先生のもとでお稽古をさせていただいております。そうした折、本年度の初釜への参加の機会を得ました。
 平戸赴任を契機に7年前から習い始めた「茶道鎮信流」ですが、地方で稽古をしている者にとっては「初釜」に参加する機会はめったにできる経験ではありません。  地理不案内の自分は会場である「三溪園・鶴翔閣」の下見を昨年末に済ませた上で参加させていただきました。1月15日は全国的な強烈寒波到来で天候不安でしたが、当日は快晴で年の初めに相応しい一日になりました。
 今回私は濃茶席で午前の部の寄付でのお菓子運びを仰せつかりました。すべてが初めての経験である私に地引先生からご指導を頂き、二席のお運びをさせていただきました。お菓子はもちろん花びら餅(一幸庵製)・・・求肥でも搗き餅でもなく、フワンフワンと弾力のあるきめ細かく柔らかな餅で初めての体験でした。一席目には、平戸在住時にお世話になった松華会の永益会長、森・谷川両先生にもお運びをすることが出来ました。
 お昼の点心は当日の参加者約110名が揃い皆で楽しみました。恒例となっているとお聞きした福引に期待を寄せましたが残念ながら選から漏れました。
 午後からは御宗家様による濃茶席には千利休が小田原の陣に豊臣秀吉に従われ、宿営で用いたとされる旅箪笥を使ってのお点前でございました。また、部屋の設えやお道具も干支にちなんだものが多く使われておりました。
 薄茶席は立礼で松平華子様を御正客に迎え、松親会(白河)の方々がお点前をなされました。お菓子は昨年平戸で開催された「オランダ茶会」で発表された「東西百菓之図」から5種類が出されそのデザインや色遣い、食感に新鮮さを感じました。また、当日はこのお菓子作りに参画されたアートディレクターの大地さんと実際にお作りになった平戸のお菓子屋熊屋さんもお越しになり制作にまつわるお話も合わせて伺うことが出来ました。
 今回、私に大きな機会を与えて戴きました御宗家様・奥方様・地引先生に感謝申し上げますと共に、東京でのお稽古にも精進して行きたいと思います。