心月公御祭茶に参加して
松親会 長島輝武
4月11日(火)心月公御祭茶に初めて参加しました。心月公(37代松浦詮)は平戸藩最後の藩主で、明治維新後は貴族院議員、宮中御歌所の参候として活躍する一方、鎮信流宗家として明治の文明開化の風に吹かれ衰微した茶道の挽回のため、女子学習院、日本女子大学等に茶道部を設け茶道の教授を行い、明治31年には東都の有名茶人16人(世に十六羅漢と称す)を糾合して和敬会という会を作り、規約を設けて、奢侈を戒め、質素を旨とし、和敬清寂を茶道の本旨とすることを世に示しました。余談ですが、5月20日に和敬会会員であった安田善次郎、鈍翁、箒庵らが眠る護国寺にて、十六羅漢追懐茶会が催され松親会が濃茶席を持つことになっています。
 心月公は明治41年(1908年)4月13日に永眠されましたので、今回は109回目のお祭茶になるそうです。当流ではお祭茶の後、炉から風炉へ切り替わります。
 桜は満開散りはじめの時節、あいにくの雨模様でしたが、逆にしっとりと落ち着いた雰囲気で、床に心月公の御影をかざり、参加者が見守る中、御宗家様が点てられた一椀を奥方様が供えられました。献茶式のあと、床を改め、清の羅雪谷が心月公へ贈った書を飾り、皆様とお凌ぎをいただき、薄茶をいただいて、散会となりました。心月公が茶道興隆に努められた事績を思い、鎮信流興隆への気持ちを新たにいたしました。