巧匠会70周年記念「初冬の会」
松親会 徳永 麻由美
 澄み切った冬晴れの12月9日、茶道会館にて巧匠会70周年記念「初冬の会」が開催されました。鎮信流は、ご宗家奥方様が、明々軒で午前と午後三席ずつ、約200名のお客様をお迎えして薄茶席を設けられました。
 お床には伝来の「花鳥大横物」、御茶碗は鷺や朱鷺、飾り窓には鷹の香炉が配され、酉年の本年最後の月に「名残の酉」で見事に彩どられたお席でございました。お菓子はカスドースと「東西百菓の図」から選ばれた可愛らしい花型のギッタソマ(オランダ語で赤いジュース)が並び、水指はオランダの国旗の色を彷彿とさせる欧州渡来のもの、脇床には明治天皇の御祖母様であらせられる中山愛子様がお作りになられた御茶碗を始め、松浦家奥方様たちの作品が飾られ、鎮信流ならではの雅やかな設えと細やかなお心配りに、お客様は深く感じ入っていらっしゃいました。「武家茶は楽しむというよりお茶によって精神を磨くものであるということでございます」とご説明くださいました奥方様のお言葉が心に沁みました。
 僭越ながら、二席目のお点前は私が務めさせていただき、忘れ得ぬ素晴らしい思い出となりました。皆様に心より感謝申し上げます。
 明々軒を一歩出ると、お庭から青空へ鳥が羽ばたいていき、吉祥の徴の様に感じられました。
 同日、他流のお席に伺った際に、何名ものご亭主様が鎮信流を話題にしていらっしゃり、大変誇らしく思いました。